血糖値を下げるホルモン「インスリン」が不足したり、効きが悪くなったりして、血糖値が上がってしまう糖尿病。主にインスリンの効きが悪くなる「2型糖尿病」では、運動不足や食の乱れで発症のリスクが上がるため、食生活の改善は予防手段の一つだ。最近は、適正なカロリーの食事作りを手助けするアプリもある。 (佐橋大)
厚生労働省の二〇一六年「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病の人は、その予備軍も合わせると国内に約二千万人いる。加齢に伴って増加。糖尿病になると、高血糖の血液で血管が傷つき、糖尿病網膜症で失明したり、神経障害や血流障害によって脚の切断といった状態に陥ったりすることも。心臓病や腎不全などの危険性も高まる。
糖尿病には、「2型」の他に「1型」がある。1型では、自己免疫によってインスリンを分泌する細胞が壊されて欠乏するため、健康的な食事や運動を心掛けていてもなってしまう。
一方、2型も、なりやすさは人によって違うというが、医師で女子栄養大特任教授の津下一代さんは「食事や運動を適切にすることで、発症の可能性は下げられる」と指摘する。
糖尿病に関連したレシピ集や、摂取カロリー、栄養バランスを計算してくれるアプリは複数ある。
全国で料理教室を展開する一般財団法人ベターホーム協会(東京)は十月、アプリ「ベターホームの糖尿病予防献立」を公開した。無料版では八宝菜、切り身魚のアクアパッツァなどの主菜十品と、ミネストローネや大根のレモン漬けなどの副菜十四品、ご飯ものと麺六品を含む計三十二品のレシピを紹介(有料版は六十四品)。「主菜+副菜二品+ご飯一杯分」「ご飯ものか麺類+副菜」のどれを組み合わせても、計約五百キロカロリーになる。
「カロリーを抑えながら、おいしくする工夫をした」と担当者。例えば、「なすとたまねぎのとろとろカレープレート」は、小麦粉を含むカレールーは使わず、よく炒めて煮込んだタマネギとナスでとろみをつけた。豚肉のしょうが焼きは脂身を取り除き、油を使わずに肉を焼くことで、百七十九キロカロリーに抑えた。
一方、高齢者の場合は、摂取カロリーを控えることだけを考えるのは危険だ。高齢期には筋肉の量が減り、必要なカロリーは減るが、食欲も落ちやすい。その原因は、口腔(こうくう)内の状態の悪化や内臓機能の低下、独り暮らしで食事がおろそかになることなど多様で、摂取カロリーが減り過ぎて活動が低下すると、さらに筋肉が減って体が弱る。低栄養にならないよう気を付けたい。
最新の糖尿病診療ガイドラインでは、六十四歳以下の糖尿病患者の目安の体重は、体格指数(BMI)22と据え置かれた一方、六十五歳以上では22〜25と緩やかになった。津下さんは「高齢者は、活力の低下に気を付け、栄養バランスの取れた食事と適度な運動を若い人以上に心がけて」と呼びかける。食事メニューや歩数、年齢などからカロリーを計算してくれるアプリなどを使うのも手だ。個別の事情に合った食事を考える必要がある時は、専門の医療機関や管理栄養士に相談することを勧めるという。
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