2020年6月のコロナ給付金寄付プロジェクト調べによると、コロナ給付金の一部を寄付したいと答えた20代は37%だという。さらにネット経由の寄付やポイント寄付なども普及し、より身近になったことで、寄付は活発になっている。
世界的に見るとどうだろうか。個人の寄付額は、名目GDPで比較すると、なんとアメリカの30分の1。世界基準からは随分後れをとっているように思えるが……。NPOに詳しい寄付アドバイザーの河合将生さんが語る。
「いえいえ、たしかに個人寄付額は少ないのですが、劣っているわけではありません。寄付の質が違うのだと思います。日本には昔から町内会や自治会、農作業、寺社の行事、お祭りなど“地縁”(地域住民のつながりをもとにした助け合いの活動)が行われてきました。“困ったときはお互いさま”という精神ですよね。これが寄付行為の原体験になっている人も多い。だから、一人ひとりの額は少なくても、それぞれの人が出せる額を出して、みんなで支え合うという文化が日本には根付いているのだと思います。
アメリカだと、マイクロソフトを創業したビル・ゲイツさんが世界最大規模の財団を設立し、感染症対策や貧困撲滅などの活動を支援している事例が有名ですが、日本だと個人の起業家が財団を設立して社会貢献することはまだまだ少ない。企業や団体が設立した財団が、助成金や奨学金などを通して個人やNPOを支援する活動を行っています」
一方、寄付額の大きさではなくサステナブルな取り組みやエシカル消費についての意識については、ヨーロッパが先を行くという見方もある。サステナブルな暮らしをガイドするサービス『ELEMINIST』の副編集長・小嶋正太郎さんが語る。
「ただ地球上のすべての国や地域の人がSDGsの実現に向けて同じ行動を取るべきかというと違うと思うんです。意識も生活も個人差がありますから。できていないことをあげつらうのではなく、どんな小さなレベルでも社会貢献ができたことを加算式で認めていくような機運が必要なのではないでしょうか」
ほぼゴミ同然のものを送るトラブルも
ここで素朴な疑問が生まれる。不用になった物品を寄付することがどれだけ支援につながっているのだろうか。お金の寄付が喜ばれるのは自明の理なわけで……。
「たしかにお金は何にでも使えるのと、管理コストがかからないので使い勝手はいいでしょう。ですが、なかにはお金を寄付することに抵抗感があるかたもいらっしゃるはずです。物品を送ったり、時間の寄付ともいわれるボランティアをしたり、あるいは支援活動の情報を拡散するだけでもその団体を応援する立派な活動です」(河合さん)
ただし、物品を寄付する際は細心の注意が必要だ。
「大掃除前の断捨離的な感じで、使わなくなったものを送って役立ててもらうこと自体はまったく問題ないのですが、なかにはほぼゴミ同然のものを送るトラブルもあるようです。食品にしても、賞味期限が大幅に過ぎたものが届けられたという事例を聞きました。受け取る側は仕分けしたり、処分したりせねばならず、支援につながるどころか活動の時間を奪うことになってしまいます」(河合さん)
そんな明らかに粗悪なものを寄付したわけではなくても、寄付する側と受ける側のギャップは起こり得るという。
「“お礼を言われなかった”とか“想像していたのと違う使われ方をした”“せっかく寄付したのに捨てられた”という声を聞いたこともあります。ただこれは受け取った相手がどんな気持ちになるかまでイマジネーションを巡らせると回避できることなのではと思います。“せっかくやってあげたのに!”ではなく、相手にも事情があることを考慮した方がいいですね」(小嶋さん)
では実際の現場ではどう感じているのだろうか。食の支援活動を行っている『セカンドハーベスト・ジャパン』の担当者は言う。
「私たちは、充分食べられるのに廃棄される食品を引き取り、支援を必要とするかたたちに届ける活動を行っています。食品寄付にあたっては、賞味期限等、規定のルールに基づいた形で寄付いただいています。
ただ、当団体直営の浅草橋パントリー(食品提供拠点)では、コロナ前は1日60〜80世帯程度だった支援対象が、このコロナ禍で1日最大350世帯を超えるまでに増えました。そうした状況下では、密を避けながらいかに安心・安全な形で食品を配布するかが大きな課題です。オペレーションを試行錯誤しながら行っています」
同団体が目指すのはフードパントリーが病院や交番のような存在になることだという。
「食べ物に困ったときには誰でも利用できる、あって当たり前という存在でありたいですね」(前出・担当者)
※女性セブン2021年10月28日号
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