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Friday, August 21, 2020

破産させても報酬を受け取ることが可能 弁護士が破産を言い放つ理由 - livedoor

本連載の執筆者・吉岡憲章氏は、60歳を過ぎてから多摩大学大学院の門戸を叩き、77歳で経営学博士号を取得した。1000社を超す中小企業の経営改革の実践的指導・支援を行っている同氏は、『定年博士 生涯現役、挑戦をあきらめない生き方』(きずな出版)にて、博士号を獲得するに至った自身の経験談を記している。

弁護士が「破産しかないですね」と簡単に言い放つワケ

■死を宣告された会社を生き返らせる

少しばかり、専門的で難しい説明をしますが、しばらくおつき合いください。もし、あなたが中小企業の経営者や幹部でしたら、直面している問題かもしれません。

国税庁の発表によりますと、2017年度における普通法人(協同組合や公益法人を除いた法人)269万4000社のうち赤字決算だった法人は約168万7000社で、62.6%が赤字会社ということでした。つまり、中小企業3社のうち2社は赤字ということです。

倒産する中小企業が後を絶たない背景には…(※写真はイメージです/PIXTA)

さらに、中小企業を取り巻く経済、経営環境は、10年以上にわたって絶えず前期より悪い景況感が続いています。つまり、中小企業の景気は年ごとに厳しくなっているということです(中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」による)。

このように、中小企業の景況はまだ底入れをしておりませんし、大企業と中小企業は別物と考える必要があります。何だかんだ言ったところで、多くの大企業はたっぷりと利益を出し莫大な内部留保を蓄えています。

中小企業は、このように恵まれない景況の上に、人財的にも資金的にも、経営スキルの面からも大企業と比較にならないほど脆弱(ぜいじゃく)です。それに加えて、中小企業に対する経営指導・支援する側にも問題があります。

弁護士や税理士が、経営再生の指導にあたることがよくあります。しかし、弁護士は法律の専門家であっても、経営の専門家ではありません。税理士も、税金の専門家であり財務諸表をつくることについてはプロですが、残念ながら経営についてはほとんど理解できていません。

これは、彼らの事業の目的が?経営〞ではないから当たり前のことです。多くの弁護士は、これは厳しいとなったら「破産しかないですね」と簡単に言います。

なぜなら、破産をさせますと、弁護士としてその手続き等で裁判所に出す予納金とほぼ同じくらいのフィーを受け取ることができるからです。ほんの少しの手間で何十万、何百万というお金が弁護士の懐に入ります。こんなうまい仕事はありません。したがって、破産する必要のないケースでも破産に導くことがあるのです。

知り合いの弁護士に、この話をしますと、彼らはニヤリと笑って、「実はそうです」と白状します。もちろん例外の弁護士もいます。

このお金は誰が払うのか?といえば、それは当然のことですが、企業が払います。お金がなくて破産するのに、その破産するにも大金がいる現実を納得できますか?

「経営コンサルタント」は信用に値するのか?

経営コンサルタントの場合はどうでしょうか? 経営コンサルタントの場合は、ある程度、経営のことを勉強しています。しかし、ほとんどの経営コンサルタントは、自分自身が経営そのものをしたことがありません。専門的に野球をしたことがない人が、いくら専門書を読んでもプロ野球のコーチをすることは無理でしょう。

同様に、経営コンサルタントも経営をしたことがありませんから、社長の心の中を、わが事として理解することは困難です。さらに、経営分析数字からの情報は理解できますから、表面上の問題点はわかりますが、それをどうやったら、本当によくなるのか、肝心の解決のための手法がわかりません。したがって、根本的な対策がなされないまま、時は過ぎてゆき、やがて、企業としての死である倒産を宣告されることになるのです。

私の場合は、わが国に中小企業に対する再生コンサルタントという概念がなかった40年以上前から経営再生を指導支援してきましたので、1100社ほどの中小企業の再生に携さわってきました。その指導した企業も多くは、金融機関や税理士などから、再生指導を要請された破綻間近の窮境状態にある中小企業です。

このように再生指導した企業のうち、1〜2年間で黒字転換したり、成長路線に乗ることができた、すなわち再生できた企業が800社くらい。それ以上の期間をかけましたが再生できた企業が200社くらい。残りの100社ほどが、残念ながら自主再生できずに法的再生や清算せざるを得なかった企業です。ほかにこれほどの再生実績、再生確率を出している例はわが国ではないと思います。そのような再生指導実績が誇れるのは、実はこの博士論文で研究した、再生に対する手法があるからだと思います。

■「企業は経営者次第」を証明する

どうして博士論文の研究が実績の結果につながっているかについて、順を追って説明しましょう。

「中小企業は社長次第」というフレーズが、当たり前のように語られます。また、金融機関も経営コンサルタントも識者も同様の発言をします。

それでは、なぜ中小企業は社長次第なのでしょうか。社長の経営者意識の何が問題で、それをどのようにすればよいのか、という分析は見かけません。当たり前すぎると思うのか、周囲もそれに甘えて、それ以上究明するための分析や思考もせず、それで済ませてしまっている面があります。

なぜ中小企業では大企業より社長が決め手なのか。その社長のどのような意識を、いかなる指導手法を使って変革させると、会社は再生に向かうことができるのか、という点を究明したのが、私の博士論文です。

大企業における社長は、会社の意思決定の責任者の立場ですが、いかにワンマン型社長といえども、取締役会などの議論や承認なしに決定し、実行に移行することは多くの場合難しいと言えます。

さらに、実行に移しても、成果が出なければ株主によって厳しい評価がなされます。また、社長の奔放で筋の通らない行為が発覚しますと、監査法人の厳しい目にさらされることになります。大きな話題となった日産自動車の経営者が起こしたコンプライアンス問題なども、その例にあたります。

さらに、諸課題の解決にあたって、社長から実行部隊に対して直接に指示命令することも基本的にはあまりありません。大企業は組織を大事にしますから、末端に対して直接指示を出すことは組織を飛び越すことになるからです。

一方、中小企業の社長の場合はどうでしょうか。

「儲かる仕事」待ちのワンマン社長は結局…

社長個人の意思決定は、ほぼその通りに会社の方針となり行動となります。思いつき的な事業や投資でも、社長の個人的な考えが通ってしまいます。規模も小さいため、社長と末端社員との距離は大企業と比較して、はるかに短いと言えましょう。

社長のやる気は、そのまま社員に伝わります。社長の怠惰も、そのまま末端まで浸透し、それが社風となってしまいます。したがって、社長の持つ危機意識はそのまま社員に伝わり、それによって会社の実行力の向上へとつながります。その結果が、再生が実現できるか否かにかかってくることになります。

このように、中小企業の再生においては、社長の意思決定がそのまま会社の行動指針となります。それゆえ、何と言っても経営の中核を担う経営者、特に中小企業においては経営陣というよりも、社長の持つ危機意識を強化させることが第一です。

たまたま、いわゆる「儲かる仕事」が降ってくることがあります。しかし、一時的に収益が改善しても、社長の本質的な意識変革、特に社長の持つ危機意識の強化なしには何をやっても先が続きませんし、積み上げができないのです。前述のように、このままでは経営破綻を待つしかないほど、窮境状態にある中小企業を救うことができたのは、まさしく経営の中核である社長の意識変革という急所にくさびを打ち込んだことによるのです。このことが、私の博士論文を構成する幹となっているのです。

■先行研究がない独創性の追求

博士論文の研究は、これまでにすでに発表されたり提案されている研究や理論と同じような内容では評価されません。それどころか、盗作の汚名を着せられてしまうことさえあります。このようなことになったら研究者としての命は絶たれることになります。

そこで、自分の研究に関連する先行研究がないかについて、学術論文や専門書、さらには、いわゆるビジネス書といわれるものに至るまで血眼になって徹底的に調べます。仮に、似たような研究がある場合には、その研究と自分の論文とどこがどのように異なるのかを明確にしなければなりません。

「経営者意識の意識改革」謳う書籍は多いが…

そして、その相違点について論文内にて説明する必要があります。私の論文研究の目的から、次のような要件を備えた先行研究を調べました。

? 中小企業の経営再生のための論理的な展開ができている研究

? 社長の経営者意識、その中でも社長の持つ危機意識という内面的特性の評価を定量化し、分析している研究

? 社長の経営に対する取り組みに関する情報や資料を、単にアンケートなど調査対象から申告を受けて収集するにとどまらず、社長や会社の実態を把握できる情報・資料が背景にある研究

? 課題の指摘をするだけではなく、どのようにして社長の意識や会社の行動を変革させるかにつながる研究

経営者を読者対象にした、社長の経営者意識を改善する必要性を説いている経営書は山ほどあります。しかし、上記の要件から考えると、社長がどのようにして経営者意識を改善し、その経営者意識が経営再生にいかに影響を及ぼすのか。それらの関係を論理的に分析し、根拠ある理論に基づいた先行研究はないのです。

また、私の研究目的に関連するかもしれない学術的な先行研究が200件くらいピックアップできました。そして、その内容について一件一件調査・検証しました。それぞれについては、博士論文中にて私の研究論文の主旨との違いを証明しましたが、本連載でその内容を具体的に説明するのは、主旨と異なりますので省きます。

結果だけをまとめて申し上げますと、私の論文が目指すような経営者特性、なかでも社長の持つ危機意識を定量的に把握した研究。効果的な施策によって収益改善につなげるための具体的手法を研究する先行研究は、まったく存在しませんでした。つまり、私のこの博士論文の研究は、この世でオンリーワンの独創的な存在であると証明できたのです。

【つづく】

吉岡 憲章

未来事業株式会社 代表取締役

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